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chiha memo

漫画「ちはやふる」の粗筋と伏線と名言と感想の個人的メモ

第161首 君は持ってるものを無視しすぎだ

3位決定戦、瑞沢対藤岡東。花野と大江は強く思う。どうして彼がここにいないのか。

真島部長だけなのに きっと この対戦の 本当の意味がわかるのは 真島部長だけなのに

 

周防と若宮は拗ねている。平仮名の置かれた場所の暗記と場所を示す反応速度が、平均的大学生を大きく下回る結果が出てしまったのだ。しかし、かるたの配列のように文字を逆向きに置くと、格段に反応速度が速くなる。

札を図形で見ているというのは、太一も同じだ。周防は更に、読手の声で「色」が見えると言う。若宮は親指と人差し指を軽く開き、また別の表現をする。

「うちは 札はみんな こんくらいの小さな神様みたいに見えてます」

札を見る若宮の優しげな表情に、周防も太一も心を動かされる。若宮は涙を零す。

「この子たちと この札たちと 離れずに生きて行くのが 私の夢です」

収録後、若宮が一旦畳に並べてから纏め、箱の中にしまう。太一は一連の作業を見詰める。

数えてるんじゃない 一部の札しか使わなかったからよけいに 挨拶 百枚に ここまで札を愛しいと思ったことがあるか?

太一は帰路に就くため、背を向ける。

”努力の人” 近付けるような気がしたって 結局見るのは絶望だ ああはなれない ああはなれない

スタッフからも「ああはなれないよなぁ」と聞こえて来る。

「だって クイーンと名人になるような人だもん」
「いや わかんねえって おまえだって小さいころからやってればさ」
「でもさー がんばってもなれねえレベルだろー あれは」
「特別だよ」

太一は母にこう教育されていた。

『だって』と『でも』は 男が使う言葉じゃありません

周防が菓子折りを一つ、太一に差し出して来る。親に土産に持って帰れと言う。何度も押し返す太一に、周防は諭す。

「君は 君も 持ってるものを 無視しすぎだ 大阪までなにも言わずに来る そのお金を自由に使わせてくれてるのはだれだ 緊張せず新幹線に乗れる男に育ててくれたのはだれだ 高校生の君に」

太一は周防に怒りをぶつけるように吐き出す。

「ただの プレッシャーかけてくるだけの親ですよ かるたやってるってわかったら またうるさい 大阪なんてバレたって またうるさい」

周防は静かに微笑み、太一の鞄に無理矢理菓子折りを入れた。

「つきあってくれてありがとう またね」

太一は一人新幹線に乗り、電話を見た。千早からメールが届いていた。

準決勝まで進んだよ。

自分がいなくても強いではないか。

君は 持ってるものを 無視しすぎだ

周防のその言葉が気に掛かり、母の携帯に電話をしてみる。夕食は要らないと告げた。電話から、聞き覚えのある音が伝わって来る。畳を叩いているような……果たして何処に居るのか。

「え? どこって…… あなたが朝早くに いつもとちがうカバン持って出て行くから 全国大会に行ったんじゃないかって 近江神宮にいるんじゃないかって 思ったんじゃないの…」

ロビーで通話している太一母に、大江母と千早母が試合を見るよう誘いに来る。うちの子出てないんで見ても仕方ない、と太一母が答えているのが、太一の耳にも届く。太一母が太一に言う。

「太一 あなたがいないせいで瑞沢負けたわよ いま 3位決定戦 ねえ 千早ちゃんが戦ってるのって あの子でしょ? あの 福井の メガネの子」

ちょうど京都駅に着き、新幹線の扉が開く。新をハブにしようとしていた自分、盗った眼鏡、地面に寝転ぶ三人――小学生時の記憶が脳裏を過る。太一は衝き動かされるように下車。

 

千早が素早く札を払う。新は序盤から5枚もリードを許していた。

「いいね かなちゃん 2枚リード 机くん 守りよかったよ 田丸さん 次も取れるよ 落ち着いて さあ行くよ」

千早の声掛けに、瑞沢メンバーが違和感を持って見る。新も千早を見る。

これが千早?

新の目の前にいる千早は、新が知っている千早とは別人のよう。表情に温度を感じられない。

「行くよ 瑞沢」

 

ちはやふる(31) (BE LOVE KC)

ちはやふる(31) (BE LOVE KC)

 

 

memo

「この対戦の本当の意味」がいまいち分からん。二人の関係に変化が起きることの予告みたいなものか。小学生時の約束は、千早と新の「対戦」ではなく「再会」だからとっくに果たしている。そもそもかなちゃんや菫は千早達の「約束」のことまでは聞いていないだろう。

「君は 君も 持ってるものを無視しすぎだ」での君=太一以外は、該当者がたくさんいそう。太一が自分がいなくても強いじゃんとか考えてるのを知らず、「あなたがいないせいで瑞沢負けたわよ」とさっくり否定するママン。出来るコという印象の強い太一だけれど、周防さんと比べるとやっぱりまだ幼いね。

千早と新の実質初対決。見開きページでのド迫力ファーストショットで吹っ飛んだ「やえむぐら」札は、寂しい家に人は来ない、という意味。