chiha memo

漫画「ちはやふる」の粗筋と伏線と名言と感想の個人的メモ

第182首 だれかの物語の一部分だ

千早は咄嗟に飛び出し、足が縺れて転びながらも、太一に訴える。

「だ だめ 太一 だめ そんなのはしちゃいけない賭けだよ しちゃいけない賭けだよ」

しかし、千早を見る太一より先に、須藤が反応。

「うっせえ 綾瀬 どうせ攪乱するための作戦だろ ふざけんな 乗んねえよ」

立ち去る須藤、真っ直ぐ前を向いたままの太一、安堵する千早、驚いた表情で見ている原田先生、厳しい表情の坪口。ヒョロは対戦相手の西田に話し掛ける。

「なんなんだ? 真島 どうしたんだ? 綾瀬ともなんかずっと ギクシャクしてるよな」

と発したところで、自身が千早に以前言ったことを思い出す。

真島は綾瀬がそばにいないほうが強いと思う

 

太一の対戦相手は、富士崎OBの江室。

「え~~~ 名前なんだっけ 受験生なのになにやってんの」

口撃に表情を変えず、太一も言い返す。

「エロムさん 大学で彼女できました?」

 

西日本予選。新は由宇から重箱弁当を貰っていた。上段にはハムカツ、トンカツ、牛カツ、メンチカツのめちゃかつセット。下段には「You can」ということで羊羹だけがみっちり詰まっている。弁当を前に頭を抱えていると、騒めきが伝わって来た。村尾が小石川に負けたのだった。

新が1月の名人戦でタンカ切ってくれたから また周防名人に挑戦するチャンスができた がんばらんとなあ

そんな村尾の言葉を思い返し、羊羹を二切れ口にする新。

 

五十嵐は対戦相手の原田と同年代で、読手に専念して15年。取りで揉めるが、廣田読手の視線が気になり、譲ってしまう。

原田さんに読手の苦労がわかるか? 始まれば90分立ちっぱなし リズムや声の音量や響きに気を配りつつ 試合場全体を見渡して 場を調整する役目

原田は空気を読まずに時間を使い、声を上げながら札を取る。五十嵐は廣田読手の様子を伺うが、態度に変化はない。

一番好きなのは マナーを守り モメず 迷わず 時間も取らない クリーンな選手 でも 私たちの読みを頼りに 自由に踊る選手もきらいじゃないよ

 

猪熊は会場のビリッとした空気に怯んで中に入れず、外から試合を観ていた。母親や姉には、子供が三人もいて大変だからと、かるたを止められた。それに対して「残念だなあ」と言いつつ、安堵している自分に気付いてしまった。

がんばらなくていいんだ いまは あのきつい戦いから降りていいんだ

桜沢先生は滑らかな動きと技で、千早の速さに対抗。大山札を連取。

去年遥さんがクイーン戦に挑戦してくれたこと 身重なのに若いクイーンに土をつけたこと 同年代のライバルががんばってくれたら 私もまだやれると思う 去年遥さんがくれたくれた気持ちを 今年繋ぐのは私じゃないの

次の「す」も取る。猪熊も驚く。

綾瀬さんの手の下をさらっていった。大山札で技の勝負を見せてからの 早い取り 桜沢さんの流れがくる

S音は桜沢も得意なのだ。

そうね 若い子をキッチリ挫折させる―― そういう気持ちもありね

 

原田がふと顔を上げると、蒼白になっている江室が視界に入った。

対戦相手にあんな顔をさせて まつげくん 君ってやつは

原田は先日白波会に来た新を思い浮べる。

生意気でも まつげくんも メガネくんも 結局かわいい

そう考えながら、迫力ある取りを見せる。

かわいい私の踏み台だ

 

君たちは 自分たちが主役の物語を生きていると思ってるだろう? ちがうよ 輝いてる君たちでさえも だれかの物語の一部分(パーツ)だ 一部分(いちぶぶん)だ どんなにかけがえがなくても

 

電車の遅延に巻き込まれていた花野や筑波など瑞沢部員達が応援に到着。建物外では太一母も試合を観戦していた。

 

ちはやふる(35) (BE LOVE KC)

ちはやふる(35) (BE LOVE KC)

 

 

memo

前話ラストで賭けの取引が成立したのかと思いきや、即座に断る須藤。前年予選時の第107首では「オレは約束は破るが賭けで借りは作らねえ」とも言っていた。他人との取引に乗るも乗らぬも自分勝手。スマートに逃げたもんだねえ。

ヒョロの「真島は綾瀬がそばにいないほうが~」は第93首。この台詞のことで、ヒョロが太一に何か仕掛ける前振りかな。千早が止めに入った時に太一は千早を見ているが、その後は何処に視線を向けているのか、何を思ったのかは読み取れない。そして、第76首の前年全国大会決勝戦にて、一度対戦しただけの年上をエロム呼びw

主役という言葉は第179首で田丸兄も使っている。彼は負けた。自分が自分が、の人は負ける法則なのだろうか。千早は他人の技を知ろうと未だ貪欲さを見せている。太一は「翻弄しに来た」ので脇役側。桜沢、原田、ユーミンなど、自分が他人に手本を示したいという考えは危ういのかも。新は村尾の敵討ちのために自分が、と考えてしまうと拙いね。

千早は取られている場面ばかり描かれているけれど、猪熊が涙を流しながら見ている辺り、桜沢先生が劣勢か。千早から先生に「流れが来る」、とも読んでいるし。

試合で読まれていたのは「わびぬれば」「つきみれば」「あしびきの」「つくばねの」「はるのよの」「みかきもり」「もろともに」「あさぼらけ・う」「きみがため・お」「すみのえの」「あまのはら」。