chiha memo

漫画「ちはやふる」の粗筋と伏線と名言と感想の個人的メモ

第189首 消えていかないで

須藤は「ちは」を送られたが、「ちは」を捨てた太一の狙いは太一自陣、と読んでいる。

あと一枚だからと集中する理音は、突然顔の辺りに手が伸びて来て驚く。理音の前髪一本が落ちて来たのを、千早がキャッチしたのだった。再び集中しようとするが、次の札は千早の速い取り。

千早の陣はこれで、あと五枚。「はなのいろは」「おおえやま」「たれをかも」「たきのおとは」「なにわがた」、そして理音陣に「つくばねの」。

あと5枚…?

次に読まれた「こいすちょう」で、須藤がダブ。太一の視線に惑わされ、太一陣の「こぬ」に手を出した。3-3となる。

あの目 あの目は真島の武器だ

東大かるた会での練習時、須藤は周防がおやつに配っていたくずきりと黒蜜を断った。次の時、周防はくずきりの酢の物を作ってくれたが、須藤はまた断った。甘いものも酸っぱいものも嫌いなのだ。

「須藤くんがいてくれて助かる 強くて 頭がよくて 性格が悪くて きみを負かすのがいちばん大変だ」

そう言って周防が差し出して来たのは、くずきりとエビと野菜の塩炒め。

「じゃあ 春も夏も 練習にきてくださいよ」

疲れるから嫌だ、と断られたが、須藤はくずきりを美味しく食べた。そして、春が来て夏が来て、周防は太一と練習していたのだった。

真島… おまえじゃダメなんだ 似すぎてんだよ おまえら かるたが大事じゃなくて 周防さんはさあ かるたが大事な人間が 倒さないと続けてくれないじゃん? あの人

原田は窓の外から一緒に観ていた美馬に語り掛ける。

「きみ かるた続けて もっと強くなるといいよ 君らの先輩ほど かるた界に強い選手が増えることを願ってる人間はいない 北央が継ぐべき財産は――あのリーダーシップだ」

須藤が太一の陣から「ふくからに」を取って、「なにわがた」を送った。これで2-3。太一はそれを左上段内側にぽつんと置き、「たち」「たれ」を移動させ右下段に揃えた。視線もそちらに移している。

「なにわがた」が読まれ、千早が高速で取った。太一はぽんと緩い取りで、2-2。原田は須藤が二枚の「た」しか見ていなかったのに気付いていた。

無意識に「敵陣右下段で勝負を決める」と思わされた そうとしか動けなくなった 恐ろしい

太一が須藤に話し掛ける。

「周防さんも言ってましたよ 読まれる札が 変な見え方するって よ… 読まれる札が ”消えて見える”って…… あるはずの札が消えそうになるから 手を 伸ばすって…」

「たごのうらに」で、須藤がお手つき。太一が1-3で逆王手。

「大事にしない」という方法でしか なにかを大事にできない

太一の視界には、消えそうになっている「ちは」。

消えて いかないで

「ちはやぶる」が読まれた。千早はビクッと反応するが、千早の方は空札。背後がワッと沸いた。審判が太一の三枚差勝利を告げているのを、千早は振り返らずに聞く。

「ちは」は 太一を助けた? よかった よかった

千早の目に、札が浮き上がって見えている。「おおえやま」を取った。続いて、理音の陣から「つくばねの」も。頬を紅潮させ見入っている筑波と大江。次に送るべきは「たき」「たれ」「はなの」で、千早が送ったのは「はなの」。ショックを受ける花野だが、まだ「はるす」が読まれておらず、「た」の聞き分けに千早は自信がある。「たきのおとは」が読まれ、千早は六連取。太一は見守る。

千早 引き寄せろ

理音が「はなの」、千早が「たれ」を持って、まさかまさかの運命戦。

 

ちはやふる(37) (BE LOVE KC)

ちはやふる(37) (BE LOVE KC)

 

 

memo

須藤は太一の目力と心理戦にやられた。しかも、太一狙い通りのお手付き二回。太一が「ちは」を取る前の、儚げな表情と「消えていかないで」の切ない叫び。終了後の太一と須藤の表情は、見事全く描かれていない。千早は自身が試合中でもあるが、須藤に恩があるしで、「よかったよかった」の独白で描かれているのは背中だけ。思えば試合開始直前の第184首も独白で「太一がんばれ」のみだった。

原田先生は太一について、前回に続き「恐ろしい」と評している。先生は膝を痛めながらも新との再戦にやる気満々でいるが、第132首名人戦で「だれか若い者が今日のことを役立ててくれるだろう」と独白していたし、後進に道を譲らないのだろうか。ただ、太一とも真剣勝負して欲しいのと、太一が先生に引導を渡すことになるのかな、とも思ったり。

千早の「あと5枚…?」は、五枚とはいえ空札もある、と残り札を把握している状態のようだ。理音は「あと一枚」が続き、千早とは逆で、視野が狭まって来ている。前回「札が浮き上がる」話で太一が驚いていたのは、高校一年時の第11首では「正確に覚えられてない」段階だった千早が「完璧に暗記」出来ている成長振り、と今更ながら理解した。歴史の生き証人・太一、だね。

原田先生と同じく「札が浮いて見える」という千早と、「消えて見える」という太一。千早は先生とクイーンを争うわけではないが、太一は先生とは敵になるのだから、同じ白波会だけれど違った見え方になって正解なのだと思う。第181首でも出て来た「生徒気分」と、回想場面にて須藤が「丸かぶりの技だけで戦うのか?」と苦言を呈していたように、先生と同じでは先生を超えられないから。

髪キャッチ後に千早が取ったと推測されるのは「おくやまに」。その後読まれたのは「こいすちょう」「ふくからに」「なにわがた」「たごのうらに」「ちはやぶる」「おおえやま」「つくばねの」「たきのおとは」。畳に残っている札は、理音側に「はなのいろは」、千早は「たれをかも」。

 

太一の試合について、雑誌掲載時は枚数にミスがあったのが、コミックスでは修正されている。