chiha memo

漫画「ちはやふる」の粗筋と伏線と名言と感想の個人的メモ

第194首 邪念に対する耐性

髪を切って現れた太一を見て、驚愕する面々。驚きつつ右手を上げている新は、太一に訝しがられる。

「たい…太一に会ったら 今度こそハイタッチやって思っとったから… 3人で勝ってきて ここに来れたからや」

真顔になる太一。口角を上げ、「ん」とだけ返す。

千早は小学生の自分達が最後に出た大会、そして太一が高三で、新が高一の頃、それぞれかるたから離れた時のことを思い浮かべ、彼等の袴の袖を掴んで涙を零す。

太一だ 太一だ 太一 新 太一 新

 

名人・クイーン戦挑戦者決定戦第1回戦の開始が告げられる。千早が原田先生達の前に立って手を広げ、会場の空気を呑み込む。

「へへっ 先生のマネ いつかしてみたかったの がんばってきます」

嬉しそうな原田。

白波会の悲願 いつかうちから名人を クイーンを

新は札を混ぜながら、太一を眺めている。

ほんま 小学生のころの太一みたいや うわぁーうわぁー 知ってたけどこんな瞳大きかったか ドキドキする

太一がいきなり立ち上がり、新の横を越えて窓際へ行く。外に周防がいたからだ。

「周防さん おれ 勝ちますから もし もしおれが勝ったら おれの言うこと ひとつ聞いてください ひとつだけ 必ず勝つから」

呆然とする新。

そういえば 太一 周防さんとテレビにも出て――… 弟子?

新の心に影が落ちる。

おれは太一と戦う日を楽しみにしてた 楽しみにしてた 子供のころからかるたに打ちこんだおれたちの集大成となる試合 ――そこで思いきりいい勝負をして 自分が勝つ それ以外の結果はない 太一には負けない

思いもしなかった 太一にとって 自分が 通過点でしかない可能性

そして 自分だって 太一を 通過点として見てること

大一番を前に何を、と原田は少し苛々しつつ、そう思わせられることが太一の作戦と考える。坪口は以前から、新は名人みたいなタイプに弱いと見ていた。

邪念に対する耐性がない

原田達が配置を確認。クイーン位戦は「ちは」が無い。名人位戦は守りがるたに有利。

 

序歌が始まる中、太一は考えていた。

若宮詩暢でさえ勝てない新にどうやったら勝てるだろう 答えは千早が持ってた

最初の札は「おおえやま」。千早と太一が取る。太一は札を手に子供のような笑顔。

「やったっ 新から1枚!」

新は高松宮杯の時のように、スピードを殺されて渡り手を封じられたのだった。その試合は四枚差で新が勝ったが……

「へへっ 新 おれ 今日は勝つよ 目標 4枚差!」

普段とは違う太一を、戸惑ったようにみている西田、駒野、ヒョロ。新は唖然としていたが、口元を締める。

観客席から宮内先生が身振り手振り。千早が気付いて、小声で太一に襷を渡す。襷を付け終わって互いを見る二人に、新の表情が凍り付く。

そんな一連の行動を、原田は腕組みして観察。

こんな揺さぶり方があるのか まつげ君 おそろしい おそろしい メガネ君は「相手の邪念」ははらいのけられるが 「自分の邪念」に耐性がない

息を整える太一、千早。

千早が持ってた答えは 自分のためじゃなく 誰かのために勝とうとすること 目標を遠く持って かるたを楽しむこと

次に読まれたのは「あしびきの」。やった! と喜びながら、札を拾いに走る太一。

自分のかるたに集中すること 素直に無邪気に その毒性に無自覚に

周防が入室。最前列に強引に潜り込んで来る。

ふうん やるじゃないか 真島くん 人のことダシにして 綿谷くん 揺さぶるとか…… ふふ…テンション上がる…

千早が「つくばねの」を飛ばす。意識しているのは周防の言葉。

一字決まりは28枚 28枚 28枚

凄い勢いで札を取り続ける千早を見て、自分は「おおえ」を一字で取りに行かないのに、と周防が関心を寄せ始めた。

 

若宮は京都の自宅に居たが、結川の応援に行っていないことを祖母から咎められて思い直し、現在新幹線の中――

 

ちはやふる(38) (BE LOVE KC)

ちはやふる(38) (BE LOVE KC)

 

 

memo

東西戦開始。太一が小学生時代の自分になり切っている。昔を知らない者には、気が触れたかと疑いたくなるような、突然のキャラ変。菫あたりの感想を聞いてみたいw というか、小学生太一を知っているのは白波会勢とヒョロ、かろうじて西田。なのに皆が皆、驚いている。短髪になったくらいで、何故そこまで驚くのやら。こりゃまたばっさり切ったなー随分気合入ってんなー程度の感想か。

千早が袴を掴む場面、回想中の太一は第138首で「百枚全部真っ黒に見えんだよ」の台詞があるページが丸ごと。その直前の出来事もそろそろ思い返してくれませんかねえ。

原田先生の「いつかうちから名人を」は、第4首でも「うちからいつか名人を」と出ている悲願。細かいが、こういう言い回しは作中で統一して欲しい。

新は第187首で太一が勝ち上がったのを喜べた、と思ったのも束の間、結局はナチュラルに格下扱いしていたことに気付いた上、太一が千早や周防とまで親しげなのを見せられ、またもや鬱々した世界にトリップし始めた様子。実際に新が五段?で太一は四段?と差もあり、高校選手権個人戦二連覇だし、新が格上なのは事実だけどさ。でも、太一は強敵揃いの東日本代表にまでなったわけで、東日本代表=強い、太一=強い、という図式が抜け落ちてるように思える。新は代表同士で戦えることだけで満足していないか? そもそも高松宮杯での四枚差は、この倍を想像していたので、意外と少ないと思ったくらいだよ。友達不在問題だって、父が言っていた通りまめにメールしておけば、こんな置いてけぼり感も軽減されたであろうに。新は自分からもっと世界を広げないと。「わた・や」の歌のように、ね。

太一の独白「誰かのために勝とうとする」のコマで周防が描かれているので、周防への願いは第184首で出た「勝ったら競技かるたを一生やる」とみる。しかし、「ひとつだけ」とは、もし敗退しても新から一勝出来れば、ってことか? 若干消極的だ。

新について、坪口は第37首で「あのタイプ、周防名人はものともしない」と言及。周防は第107首で「きみを見ててもテンション上がらない」と言い、今回テンションを上げている対象も太一。新のかるたが周防の琴線に触れる場面は果たして発生するのか。

周防の一字決まりは、第49首のテレビにて28枚と紹介されているが、第107首で27枚と訂正済み。千早はそうと知らないまま、28枚聴けているレベルまで来た? 周防は千早の聴力が、自分と同等かそれ以上だと気付いた模様。尚、「おお」で始まる札は「おおことの」「おおえやま」「おおけなく」、他の「お」は「おくやまに」「おぐらやま」「おとにきく」「おもいわび」がある。

第171首の詩暢曰く「お」は「攻めにくい札」なのに、新はその時「おおことの」を詩暢から千早ばりの速さで取っている。が、今回の「おおえやま」は太一に取られた。「おおえやま」は第163首の千早対新戦で最後に出た札でもあるが、新は手が動いていなかった。新は「おおえやま」と相性が悪いらしい。「返事が無い」とか「自立」といった意味ありげな歌だから? そう言えば、第119首で描かれた告白からちょうど一年だ。

尚、 「ちは」札は女子側には無いが、男子は新陣右中段にある。やはり強気に送るのかな。太一がしつこく送り返して来るだろうけど。他の曰く付き札を見ると、太一の「たち」は千早陣左上段のみ。「わた・や」は新陣右下段、結川陣左下段。「わた・こ」は太一右下段、千早陣右下段。「たご」は新陣左上段、結川陣右中段。「せ」は太一右下段、「ふ」は無さげ。

会場内で観戦しているのは千早母、大江母、新父、瑞沢部員、宮内先生、白波会から原田先生と坪口と女弟子達、南雲会の栗山先生と村尾と松林兄弟、明星会の伊勢先生と小石川、他にヒョロ、猪熊、桜沢先生、関係者らしきモブキャラなど。太一母は扉小窓からガン見。千歳は来る気はあったようだが、デートを選んだらしい。思い付くところでは、富士崎勢や由宇などの遠方在住者はともかく、ヒョロ以外の北央勢や須藤の姿は確認出来ず。

 

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雑誌発表時とコミックス版との違いを幾つか発見。観戦者で小石川の隣がモブキャラからこころちゃんに変更されている。代表選手紹介時、新だけ「くん」呼びだったのが「さん」に修正。原田先生の独白「こんな揺さぶり方があるのか」の前のコマに、「らしくない明るく無邪気な声」という独白が追加。あと、どーでもいい部分だけど、新幹線で詩暢と居合わせたねえちゃんの台詞が「終点じゃん」から「終点やん」になっている。